瑞浪市化石博物館研究報告第50巻第3号 パレオパラドキシア瑞浪釜戸標本調査報告書
パレオパラドキシア瑞浪釜戸標本の研究(概要)
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出版年月日: 2024/3/29 ページ数: I-XVI
2022 年6 月に,岐阜県瑞浪市釜戸町の土岐川河床に露出する瑞浪層群宿洞層から束柱類のまとまった骨格化石が発見された.発掘・剖出を行った結果,前肢を除く各部位の計119 点の骨を識別でき,頭骨や後肢骨の形態学的特徴から,標本はパレオパラドキシア科の属種未定種(Paleoparadoxiidae gen. et sp. undet.)と記載される.また,犬歯,臼歯,椎骨の状態から標本は老齢な雄個体であることが推定される. 骨の埋積状態からこの個体は死後海中を漂流し,その後体が左に傾いた状態で海底に着底し,板鰓類に捕食された後に埋積したものと推定される.頸部は,死後の弛緩により海底に着底した際に大きく湾曲したものと考えられる. また,共産化石から産出した層準が暖流の影響下にある水深10~50 m の浅海で堆積したこと,板鰓類がパレオパラドキシアの遺骸を捕食したこと,骨格埋積時の有機物が少なかったことなどが明らかになった.本論では,これらの成果についてその概要を紹介する.