瑞浪市化石博物館
研究報告

瑞浪市化石博物館研究報告第4

師崎層群産ヒザラガイ新種 Lepidopleurus morozakiensis

糸魚川淳二・西本博行・冨田 進

出版年月日: 1977/12/25   ページ数: 5559, pl. 1415

知多半島の先端部,愛知県知多郡南知多町林崎に露出する師崎層群豊浜累層最下部のシルト岩中より,8枚の殻片の揃ったヒザラガイ類の化石が産出した.このような保存状態での化石の産出は日本ではじめてと思われる.

この標本はLepidopleurus属に属するもので.1) 大きい,2) 中間板の側城の顆粒が中央域のそれより細かく密である,3) 中央域は浅い,はっきりしない溝によって,背域肋域,相当の部分にわかれる,などを特徴とし,新種morozakiensis として記載された.

ほぼ自生的と思われる産状,シルト岩であるマトリックス,共存化石などから,100–200 m の深さの泥底の環境の生息者と推定される.

一志陪群三ケ野層産のLepidopleurus sp. を比較のため記載した.中央域が明らかな溝により,背域と肋域にわかる点で,前記の新種と異なるが,幼型である可能性もある.