瑞浪市化石博物館
研究報告

瑞浪市化石博物館研究報告第1

瑞浪層群の貝類化石

糸魚川淳二・柴田 博・西本博行

出版年月日: 1974/12/25   ページ数: 43203, pls. 163

瑞浪層群から産する化石のうちで,種類のもっとも豊富なものは貝類である. 横山(1926)の研究以来,いくつかの研究があり,1960年には糸魚川によって総合され,化石群集の実態がほぼ明らかにされた.当時,296種がリスト・アップされ, 日本でも有数な,豊富な構成をもつものとして注目された.

その後10数年間の間,瑞浪高校地学クラブを始め多くの人々の絶えまない採集の努力により,徐々にその種数の増加が続いていた. 今回の中央自動車道工事に伴う調査において多数の保存良好な標本がえられ,また瑞浪市化石博物館設立をきっかけに,多くの人から,多数の,貴重な標本が寄せられた. その中には,学会に未発表の新しい種類がいくつか含まれており,今後の研究によって,明らかにされてゆくと思われる.

本報告は,糸魚川・柴田・西本によって分担して行なわれた研究をまとめたものである. 各種類の記載はそれぞれの責任において行ない,その項の終りに執筆者が明記してある. 種名表は検討した種類を一覧とし,できるだけ産地を示した.ただ,瑞浪層群の場合,地層の露出が単に1つの露頭だけでなく連続しており,かつ,化石がどこからも出てくるという事実から,産地をあげるのが困難なことが多い. そのような場合は,特にくわしく調べた地点,多産する地点だけを産地として示した. そして,全体を綜合して,地層名で示した. また,1つの露頭で上下に連続的に化石が産し. しかも,構成が異なる場合がある. これは,-1,-2という区分で示した他,群集の議論のところでふれてある.

貝化石群集は,以上の結果にもとづいて,各層についてまとめ. さらに全体を綜合した. 野外において行なわれた山野内層・戸狩層についての数量調査の結果はとくにくわしく記述し,図で示した. 宿洞砂岩相. 名滝礫岩層については,層序. 古環境の問題と関連して,細かい議論を行なった.