瑞浪市化石博物館専報第6号
日本周辺タマキガイ類温帯固有種の祖先型,キッシュウタマキガイ
- MMFM06-005Matsukuma, 1986(PDF 6.58MB)
Matsukuma (1986) print-version
出版年月日: 1986/3/25 ページ数: 59–74, pls.6–7
日本周辺のタマキガイ科二枚貝には,漸新世以降細密な毛状穀皮と平滑な靭帯面を有し,現生種では肛門が後閉穀筋上に固定される種群がある.これらは,従来はGlycymeris属のシノニムとされていたVeletuceta亜属の種として一括することができる. Glycymeris cisshuensisは日本周辺のGlycymeris (Veletuceta)亜属の最初の種であり,漸新世から中新世にかけて,日本列島及び朝鮮半島付近の外洋,浅海の砂底に分布した.漸新世のGlycymeris compressa,中新世のG. ikebei,G. ksuzukii及びG. vestitoidesはいずれもG. cisshuensisのシノニムである.形態的に類似し,同じく分布域が日本周辺に限られる鮮新世から現世のGlycymeris albolineata及びG. vestitaの起源はG. cisshuensisに求められる.