瑞浪市化石博物館
研究報告

瑞浪市化石博物館専報第6

長野市近郊に発達する鮮新統柵層より産出したカミオニシキガイ属の一新亜種

天野和孝・唐沢 茂

出版年月日: 1986/3/25   ページ数: 4147, pl. 4

長野県上水内郡戸隠村荒倉山キャンプ場付近の鮮新概層から産出しカミオニシキガ属の新亜種Chlamys (Chlamys) lioica shigaramiensis を記載,報告.

本亜穫は中型で薄い殻をもち,比較的偏平で,ほぼ左右等殻,殻頂は約85度である.右殻の殻表には腹縁と前後端付近に66本の弱L、放射状脈を刻む.右殻の前耳には5本の明らかな放肋を刻み足糸包帯(byssalfasciole)はやや狭く足糸膏入は広く浅い.の後耳はごくさく角形で4本の明らかな溝をもつ足糸櫛は短く 4 本の弱い櫛歯から成る. 左殻の殻表も多くの弱い、放射を除き平滑.左殻の前耳は三角形で, 5本の明らかな放射肋を刻み足糸湾入は広く浅い左殻の後耳は不明.右殻の蝶番は顕著主関節と深い弾帯を伴う.内腹縁は弱くまれる.

本亜種は,殻形,殻表彫,耳の形態と彫刻からアラスカの鮮新知られるChlamys (Chlamys) lioica (Dall) に類するがアラスカのより耳がさく,足縮歯が少なく,足糸包帯が狭い点で異なる.